付加価値の高い医薬品で利益を上げるメーカー

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1961年に日本で国民皆保険制度が制定されて以降、医療品業界は成長を続け、その伸び率は平均して年15パーセントを超し、70年代には1兆円産業にまでなりました。日本の主要な産業として経済を支え、雇用を生み出しています。

 

付加価値の高い医薬品で利益を上げるメーカー

 

日本国内の医薬品産業は、研究に多くの費用を割いています。その割合は、医薬品産業の総売上げの8%を常に上回り、2010年12%,大手医薬品メーカーの平均は18.9%にもなります。2010年の日本国内研究費総額が17兆1100億円で、GDPに占める割合は3.6%だったことからも、この研究費が他業種を含めても高い割合であることがわかります。

 

基礎研究における支出が特に多く、全産業で研究費の割合が平均5〜6%なのに対して、医薬品業界はその2〜3倍を占めます。薬は付加価値が高く、付加価値率(売上に対する付加価値額)でみると、2008年の統計では自動車23.4%,鉄鋼23.6%,化学工業27.7%,電機34.4%に対して、医薬品は58.4%と非常に高く、利益率をみても自動車や電子機器が7〜10%なのに比べ、医薬品は平均20%を越しています。

 

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2008年リーマンショック後、多くの企業の収支が悪化する中、医薬品各社は安定を保っています。08年の納税額では鉄鋼業界が4585億円、自動車業界が1964億円、情報通信1785億円、電機業界1340億円なのに対し、医薬品業界では、日本製薬工業協会加盟の55社だけで5021億円にのぼりました。

 

化学工業がトップで統計上9019億円の納税額がありますが、企業数としては11551社あり、売上総額が40兆5947億円なので、医薬品55社の売上総額7兆7102億円に対する5021億円の納税額がいかに多いかがわかります。納税額の多さから、医薬品業界の国への貢献度の高さがうかがえます。

 

今後の課題は、研究開発費のコントロール

 

日本の産業は、医薬品産業に限らず基本的に研究開発に重きを置いています。国内で研究関係に従事する人の数は年々増え続け、2011年106万4800人(総務省統計)となりました。これは国民1万人当たり51.4人が研究者であることを示します。アメリカは46.8人、ヨーロッパでは40人ほどです。

 

1997年以降では、全産業におけるGDPに対する研究費の割合も日本が約3%に対して、欧米は2%ほどですので、日本企業が研究開発に置く比重の重さが見てとれます。多額の研究開発コストをどのように吸収し、また維持して行くのかが今後の課題といえるでしょう。それには医薬品メーカーがビジネスモデルとして模範を示していく必要があるのではないでしょうか。




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