外資系医薬品メーカーの国内シェアが拡大している現状

外資系医薬品メーカーの国内シェアが拡大している現状

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日本の医薬品市場における外資系メーカーの割合も年々増加しています。世界的には新興国への進出が主流となっている中、日本企業にも目を向ける理由は何でしょうか。理由の一つに、加速する高齢化による医薬品需要の高まりがありますが、それ以外にもあるようです。

 

外資系医薬品メーカーの国内シェアが拡大している現状

 

厚生労働省の薬事興行生産動態統計によると、輸入医薬品の金額は毎年約10%増で推移し、日本市場への外資系メーカー参入状況が伺えます。また、国内承認を得る新薬のうち75%は外国で開発された製品であり、国内メーカーの新薬開発が遅れていると危惧されています。

 

2011年度の国内医薬品売上高を見ると、それまで1位を保ってきた武田薬品(5595億円)がアメリカのファイザー製薬の日本法人(5758億円)に追い抜かれたのです。これは、国外メーカーの勢力を裏付ける結果でもあります。

 

そもそもアメリカでは、日本に比べて莫大な労力と費用を新薬開発にさいています。メーカー一社あたりの研究開発費用は日本の約6倍、製薬会社、大学、公的研究機関等の研究施設の職員数に対する専従研究者の比率も、日本よりはるかに多いのです。

 

特に、遺伝子治療等に代表される最先端医療分野の薬剤の開発環境には大きな差があると考えられています。さらに、医薬品関連特許の登録件数を見てみると、日本の年間平均登録件数が1300件前後なのに対し、アメリカは年間平均6000件もの登録件数があるのです。

 

また、日本メーカーのほとんどが国内のみの出願であるのに対し、欧米のメーカーは日欧米に広く出願しているのです。この様な状況が、新薬を海外製品に依存し、医薬品の輸入額を増加させている原因であると考えられます。

 

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外資系にとって魅力的な日本人のブランド志向

 

国民保険制度が整っている日本では、医薬品を比較的安価に入手することができるため、医薬品の普及を後押ししていることも事実です。また、高齢化が進み、高血圧や糖尿病など長期に渡って薬を服用しなければならない慢性疾患が増えています。

 

そもそもそのような慢性疾患は、欧米諸国に多い疾病であるため、欧米メーカーにとってそれらの治療薬の開発は、いわば得意分野なのです。これは、欧米メーカーが日本市場への進出を加速される大きな理由です。

 

さらに、日本人の特徴ともいえるブランド志向が、こうした欧米メーカーの進出を有利にしています。日本人は、ヴィトンやエルメスといったいわゆるブランド品を好みますが、医薬品に関しても有名企業の高価な製品を好む傾向があるのです。

 

安価だが、いわば2番煎じ医薬品のジェネリックが日本でなかなか定着しないのは、そういった理由もあります。欧米メーカーは、ジェネリック医薬品の登場によって、オリジナル製品の売上が激減し、悲鳴を上げています。

 

そんな中、オリジナル製品の売上が落ちにくい日本市場は大変魅力的であり、今後も欧米医薬品の輸入額が増加していくであろうと予測されているのです。




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