医薬分業に対する問題提起

ヒューマンエラーを防ぐための医薬分業

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医薬品は人体に深く関与する物質です。それを取り扱うのはやはり人間ですから間違いは必ずあるといっていいでしょう。ヒューマンエラーにより引き起こされる調剤過誤や調剤事故は起きるものだという前提で対策を立てなければなりません。

 

ヒューマンエラーを防ぐための医薬分業

 

ヒトは絶対に間違える

 

医薬分業は診断と投薬を分離し、相互に責任をもってチェックすることが大前提です。そこで多くの事故をなくする事ができるはずですが、患者に薬が渡される前にミスが起こる可能性があります。処方せんを患者が薬局に持参すると、調剤までに3段階のチェックがあります。

 

まず、処方せんの内容確認です。前回との比較、アレルギーの有無、妊婦や年齢による禁止薬物の有無、薬の用法と量の適正などを調べます。お薬手帳から他の医療機関との重複薬剤有無を見て、疑義があれば医師に問い合わせます。

 

次に、一人の薬剤師が処方せんの薬品を取り揃えます。ここでもう一人の薬剤師が薬品の間違いの有無をチェックします。最後に、患者に医薬品ごとに確認をしながら説明をします。これでも、思い込みなどや多忙であり注意が散漫だと間違いが起こる可能性がゼロとはいえません。

 

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人為的なミスを防ぐためのシステム

 

人の介在がミスを生み出すので、そうでないシステム、すなわちコンピュータによる管理をしている薬局もあります。総合処方鑑査システムを神奈川の望星薬局は導入しています。医薬品情報と患者情報をコンピュータで判断し画面で表示されます。処方せんの調剤の可否がデジタル表示されるようになっています。コンピュータにヒトの打ち込みミスがない限りは、客観的な判断結果が出て、かつ安全性の高いシステムです。

 

また調剤のとき実際に軽量ミスを防止する散剤防止システムも使われ効果を上げています。しかし、このようなシステムを導入しているのはまだ一部で大多数は手作業で行っているのが実情です。そして、単純ミスですが、最も多く、致命的なミスが、薬品の取り違えです。これが重篤な事故につながります。

 

医薬品の名称はよく似ています。同じ医薬品でも規格違いがあります。区別がしっかりできて取り違えの無いように、色分けするとか場所を変えるとか様々な工夫が必要です。

 

 

■調剤過誤
調剤事故の中で、薬剤師の過失により怠もの。調剤の間違いだけでなく、薬剤師の指導不足や指導間違い等などにより健康被害が発生した場合も、薬剤師に過失があると考えられ、調剤過誤となる。

 

■調剤事故
調剤に関するすべての事故に関連して、患者に健康被害が発生したもの。薬剤師の過失の有無を問わない。




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