日本の保険制度の問題点について

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日本の健康保険制度は、世界的に見てもきわめて高い加入率、給付率を誇っています。しかし、政治、医療、国民の利益それぞれの角度から照らすと現行制度には、まだまだ改善すべき課題がありそうです。

 

日本の保険制度の問題点について

 

日本の現行医療制度は、入り組んでいます。組織に属さず、農業などで生計を立てている人は、国民健康保険への加入が義務付けられています。組織の下で雇用されている人は、被用者保険の加入義務があり、これには組合管掌健康保険、政府管掌健康保険、共済組合の3種類があります。さらに船員保険や日雇い特例健康保険というものもあります。

 

現在日本では、健康保険は保険料の収入と保険利用サービスによる支出のバランスが崩れ、収支が悪化しています。いくつかの保険組合は破綻しかけており、国民健康保険も赤字続きです。これは高齢者の増加と、このところの経済不況の結果です。

 

不況になると、就業者の所得が減るので納税額も減り、保険料収入が少なくなります。高齢化にともなう減益分は、経済成長による収入増加で補うので問題なし、とした有識者らの楽観的予測は見事に外れてしまったのです。

 

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厚生労働省は、2001年の「医療制度改革の課題と視点」において、高齢者医療制度に赤字の原因があるとし、改革案4つを示しました。

 

1.独立保険方式

現存の医療保険制度とは別に全高齢者向けの高齢者医療保険制度を作る案。高齢者の保険料支払い能力、多額な公費捻出が問題点とされました。

 

2.突き抜け方式

被用者OBが国保に移行することで、国保の加入者が高齢化するのを避けるため、被用者OB向けに保健組合をつくり、その医療費を被用者の保険グループで支えるとする案。被用者OBだけが対象となるのは不平等との指摘がありました。

 

3.年齢リスク構造調整方式

各保険組合の加入者の年齢層に偏りがあることから生まれる支出の格差を調整し、負担の不均衡をなくすという案。保険拠出金の不足分補填の仕組みについて明確ではないことが評価されませんでした。

 

4.一本化方式

現行の複雑な保険制度を一本にまとめ、全国民向けの医療保険制度をつくるという案。現存の保険組合は5000以上にものぼり、保険料や給付率もばらばらなため、その調整は困難とされています。

 

 

いずれの案も決め手に欠けたため、その後も根本的な改革が進まずに、結局高齢者の医療費削減という手段に出ることになりました。そして、2008年スタートしたのが後期高齢者医療制度です。




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