健康寿命の延伸を目指す治療薬の開発

健康寿命の延伸を目指す治療薬の開発

このエントリーをはてなブックマークに追加  

寿命が延びていることは、医療の進歩のたまものです。しかし、長生きも健康があってこそといえるでしょう。健康のまま寿命を延ばすことが現代医療の目標です。

 

健康寿命の延伸を目指す治療薬の開発

 

高齢化が進むにつれ、生活習慣病患者も増えています。循環器用薬(心臓・血管・リンパ管に対する治療薬)の需要が高まり、中でも血圧降下剤は2010年1兆円の売上げ(薬価ベース)となっていて高齢化と高血圧患者の密接な関係が浮き彫りになっています。50歳を超えるとがん、高脂血症の発症が増加するので、抗がん剤、高脂血症治療薬の需要も増えています。

 

一方、高齢者特有の症状、認知症も確実に増えています。認知症の治療薬としてアリセプト(エーザイ)が世界中で使用されてきましたが、その発表以後10年に渡り新薬が開発されないままでした。人口高齢化は世界的な傾向でもあったので、その間に実は地道に新薬の開発が続けられており、2011年に3つもの認知症新薬が発表されました。

 

スポンサーリンク

 

1つは、レミニール(一般名ガランタミン)といい、ヤンセンファーマ開発、武田薬品との共同販売であるこの薬は、早めの服用で高い効果が望める点と患者の徘徊や妄想が抑えられ、介護者の負担を減らせる点が評価されています。

 

2つめは、第一三共のメマリー(メマンチン)で、この薬はこれまでにないメカニズムで学習機能と記憶の障害を抑えるとされ、中度から重度の認知症に効果があるとされます。3つめはノバルティス・ファーマの一般名リバスチグミンです。

 

ノバルティスと小野薬品からパッチ剤(貼り薬)として販売されています。皮膚からの吸収なので、副作用が少なく、家族が貼ってあげられるので、服用し忘れを防ぐことができます。

 

 

QOL改善薬とは?

 

排尿器障害治療薬も、高齢者対象の薬として関心を集めています。年をとるにつれ、膀胱機能が衰え、認知症などにより中枢神経障害が進むことで、高齢者には急に尿意が襲う尿意切迫や、頻尿、尿失禁の症状が多くみられます。排尿器障害の薬は、膀胱をリラックスさせて急な収縮を防ぎ、尿を貯める量を増やして頻尿を防ぎます。

 

実は今、排尿器障害や認知症は高齢者だけでなく若年層でも増えており、それらの治療薬は広範囲な年齢層の需要があります。患者の生活の質を良くするという意味で、QOL(クオリティーオブライフ)改善薬とも呼ばれ、今後ますますその需要は高まっていくでしょう。




このエントリーをはてなブックマークに追加