急成長している外資系に吸収された日本医薬品メーカー

急成長している外資系に吸収された日本医薬品メーカー

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業績を上げている外資系メーカーの多くが、実は日本で古くから創業しているケースが多いのです。そういったメーカーは、日本の医薬品市場の成長を予期していたと言え、事実日本は世界第2位の規模を維持する立場となりました。まさに、先見の明があったと言えるでえしょう。

 

急成長している外資系に吸収された日本医薬品メーカー

 

外資系メーカーが日本でビジネスを開始する際、国内メーカーと業務提携を結ぶケースが多いです。共同出資による日本法人の立ち上げや、販売提携がそれにあたります。共同出資の例を見てみると、ファイザーと旧田辺製薬、アストラゼネカと旧藤沢薬品工業、ヤンセン・ファーマと共和発酵工業等が挙げられます。

 

また、販売提携では、特定の製品について日本メーカーの販路を利用して販売する販売委託契約の締結が主流です。販売委託契約では、販売を日本企業に完全委託する場合と、契約した両企業が、各々の販路を利用して同時に販売する場合があります。

 

後者では、全く同じ医薬品が同じパッケージで、しかし違った企業名で同時に雑誌等に掲載されることもあります。

 

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M&Aによって内外メーカーが入り乱れている

 

一方、世界的に盛んに行われている吸収・合併の波に乗る国内メーカーも存在します。ビジネスが停滞している日本企業にとって、世界的な大企業の傘下に入ることは企業再生のチャンスであり、外資系企業にとっては、日本市場での新たな販路を獲得できる機会であり、両社にとって大きなメリットがあるのです。

 

2002年にスイスのロシュ社の子会社となった中外製薬が良い例です。中外製薬は、この外国資本の受け入れをきっかけに、大衆薬部門をライオン・グループに売却、医療用医薬品専門メーカーになりました。そして現在、分子標的薬と言われる新規の抗がん剤において、種類、売上共に国内1位という実績を上げています。

 

その他、C型肝炎治療薬であるペガシスやコペガス、抗インフルエンザ薬のタミフル等も、他社に類のない独自の有効治療薬であり、このような治療薬を扱えることも、ロシュ社の傘下に入ったことによる利得だと言えます。

 

ちなみに、2011年の売上は国内第9位でした。2003年にドイツのメルクの傘下となった万有製薬も事業拡大が加速しています。その後2009年、親会社であるメルクがシェリング・ブラウと合併したのを機に、社名をMSDに改称しました。

 

傘下に入ったことで扱えるようになった薬剤は、喘息治療薬のシングレア、降圧薬のニューロタン、高脂血症治療薬であるリポバス、骨粗鬆症治療薬のフォッサマック等、日常的に需要のあるラインナップであり、2011年度の売上は国内第6位でした。

 

この他、ドイツのベーリンガーインゲルハイムの傘下となったエスエス製薬、アメリカのアボット社に買収された北陸製薬もM&Aの成功例と言えるでしょう。




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