調剤報酬の決まり方

調剤報酬はどのようにして決まるのか?

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診療報酬(調剤報酬も含む、以下同じ)及び薬価基準は原則として2年に一度審議会等の議論を経て改定されます。近年は財源確保のために薬価を引き下げ、診療報酬に振り向ける方式が定着しています。

 

調剤報酬はどのようにして決まるのか?

 

改定率は内閣、基本方針は社保審

 

診療報酬の改訂は3段階です。まず内閣が国家予算の中で改定率を決めます。次に社会保障審議会、医療部会、医療保険部会で決定し、最後に中央社会保険医療協議会(中医協)で具体的に点数配分を行います。これら審議会や部会、中医協はいずれも厚労省大臣の諮問機関です。正式な決定は厚労省大臣が中医協の答申を受けて官報に告示してなされます。

 

診療報酬の改訂には中医協がかつて大きな権限を持っていましたが、2004年不祥事が発覚したため社会保障審議会の医療部会・医療保険部会も関わるようになりました。介護報酬も2012年に改定されますが、こちらは社会保障審議会・介護給付費分科会で議論されます。

 

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医療政策の方向を反映している点数配分

 

診療報酬とは「医療行為に対して支払われる対価」であり「厚生労働大臣の定める方法で算出する」とあり、2年に一度改定されます。改定時のポイントがその時の政策が反映されていることが多いのです。例えば2012年では病院勤務医の負担を軽減し、介護在宅医療に分配されるので、チーム医療と高齢化社会対応に重点が置かれているとわかるのです。

 

2012年では診療報酬全体が1.379%ですが薬価は1.375%引き下げであり0.004%の僅かな引き上げです。調剤薬局としては全体で0.46%引き上げとなっています。しかし、内訳では調剤薬局費の7割以上を薬価が占めています。薬価の引き下げは実質的に利益を減らし、経営は悪化の方向が予想されます。

 

■社会保障審議会 
厚生労働大臣の諮問機関の一つ。医療・年金・介護などの社会保障制度や人口問題の基本的事項について調査・審議する。
本審議会の下に設置されている医療部会が医療提供体制のありかた、医療保険部会が医療財政面から審議する。

 

■中医協
中央社会保険医療協議会の略称。厚生労働大臣の諮問機関。医療保険の診療報酬額の算定、療養担当規則の改訂等について、大臣の諮問を受けて答申、建議する。

 

診療報酬の改訂では、本体○%引き上げ、ネット○%引き上げ−などと表現する。本体とは薬剤費を含まない、診療報酬の技術料のみを対象にした場合。ネットには「正味量」の意味が有り、薬剤費も含めた医療費全体でプラス化マイナスを表現する際に使う。2012年度改訂では本体1.379%引き上げ、薬価引き下げを含めたネット全体で0.004%の引き上げとなった。




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