資本力が大切な医薬品メーカー

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競争の激しい医薬品業界は、効能の高い薬を開発するために強いプレッシャ―がかかっています。相次ぐ吸収合併の背後には、資本力がそのまま開発力となる医薬品業界の特有の事情が関係しているとみられます。

 

資本力が大切な医薬品メーカー

 

医薬品市場は世界的にも拡大を続け、2000年3628億ドル、11年9560億ドル、16年には1.2兆ドルにのぼるとの予想です。しかし、その研究開発費は、現状の5〜6倍にまで膨らむと見込まれ、利益率は低くなる傾向にあります。

 

各メーカーの主力製品が2000年以降に特許切れとなったことが、その理由にあげられます。特に、2010年あたりに特許切れの数が多かったために、しばらくはメーカー各社の減益はやむを得ない状況となるでしょう。

 

そもそも製薬業は、他業界と比較すると、商品数が少なくても利益を上げられるという強みがありました。しかし、それは売れ筋製品の特許が切れた時に売上を大きく減らしてしまうことにもつながります。収支を維持するためには、メーカーは常に新薬開発に挑まなければなりません。

 

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しかし、新薬として期待出来る化学元素のバリエーションも底を付く現状では、研究開発のためさらに多くの時間と努力が必要になってくるでしょう。薬の副作用も問題となっており、薬の安全性に世の目が厳しくなる中、新薬開発にはこれまでよりも徹底した臨床試験が必要になっています。

 

副作用に対する医療訴訟で発生する経費、それに備えるための保険料などを含めると、医薬品開発のコストは今後さらに膨らんでいくものとみられます。

 

 

協調で業界を支援する欧米政府

 

新薬開発には、より高度な技術が必要とされ、製薬メーカーは開発費用がかさんでゆく傾向にあります。最先端機器やそれを操る技術者、それらのための研究施設など莫大な資金が必要になるからです。

 

そのような中、欧米の大手各社は国家間での協力を試み、効率のよい新薬開発をする動きが見られます。例えば新薬の臨床試験を多国籍の施設で協力し、同時に行えるようにします。それにより、いくつかの国で効果が確認されれば、国際市場で一斉販売が可能になるのです。

 

さらに、これまで国ごとに異なっていた薬の承認制度も統一が進められており、欧米の国々では新薬の承認がスムーズになるよう、国家が業界を支援する傾向がでてきました。一方、日本はどうやらその波に乗り遅れているようなのです。




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