新薬開発には、資金力と根気が必要となる

新薬開発には、資金力と根気が必要となる

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医薬品の開発は相当の気力、体力、資金力を要し、浜辺の砂からダイヤモンドを探し出すのと同じくらい途方もない作業だといわれています。まさに執念こそが夢実現への扉なのです。医薬品メーカーにとって夢のダイヤモンドである新薬開発は、その薬効の背後に開発者たちを夢中にさせる魔性の力が働いているかのようです。

 

新薬開発には、資金力と根気が必要となる

 

医薬品業界は、従来のやり方では立ち行かなくなってきました。これは、世界的にいえることです。開発面では、これまで現存する化合物の組合せや量を調整することで新しい薬効を見出してきたのですが、その組み合わせパターンも底がついてきたようなのです。

 

また、収支面においても、長らく大きな利益をもたらしていた医薬品の多くが近年次々に特許切れを迎えていることから、各社の収益はかなり厳しい状況に陥っています。例えば、世界売上第一位のアストラゼネガの抗潰瘍剤プリロゼック、イーライ・リリーの抗鬱剤プロザック、ファイザーの抗鬱剤ゾロソフトは、2000年特許が切れた途端、売上が激減し、各社に大きな打撃を与えました。

 

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日本のメーカーでは、世界第6位を記録した第一三共のメバロチンは06年特許が切れ、その2年後には世界順位100位以下に落ちました。09年には武田薬品のタケプロン、アステラスのハルナール、10年にはエーザイのアリセプトが特許切れになり、これらもまた営業成績の不振を招いています。

 

従来の化合物組合せによる開発では、これ以上効果の高い新薬を発見する可能性が極めて低く、さらに主力製品の特許切れが相次いでいる現状の中、各社が必死に取り組んでいるのがゲノム創薬です。

 

日本のメーカーは、規模で大きく劣っている

 

世界中の医薬品メーカーが、ゲノム創薬の開発に力を注いでいます。世界的にも大きなメーカーが、さらに吸収合併を繰り返して巨大化していく理由がここにあります。巨額な資金と潤沢な人材をふんだんに使い、ゲノムによる新薬開発で他社を出し抜きたいのです。

 

日本の医薬品メーカーは、その規模において世界の企業に太刀打ちできない状況です。国内トップの武田薬品の年間売上は、世界トップのファイザーの三分の一以下ですし、第一三共やアステラスは合併後にもかかわらず、さらに少ないです。

 

しかし日本には、世界でトップクラスと言われる粒ぞろいの研究者たちがいます。彼らの活躍で、日本のメーカーが世界に躍り出る日が来るのを期待したいところです。




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