医薬品メーカーの海外部門の仕事とは?

医薬品メーカーの海外部門の仕事とは?

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研究開発を基盤とする省エネ型高付加価値産業である医薬品産業は、資源の少ない日本にとって理想的な産業であるといえます。そして、さらなる成長のカギは海外進出の成功にあるのです。

 

医薬品メーカーの海外部門の仕事とは?

 

大手医薬品メーカーを中心に、海外ビジネスが加速しており、それに伴って海外部門が重要視されるようになってきました。日本市場は世界第2位の規模でありますが、さらなる拡大のためには、海外進出が必須であると考えられているのです。

 

海外進出の方法は、自社の子会社や工場・研究所の開設、海外メーカーとの合併、また有望な新薬を開発したベンチャー企業を買収する等、多岐にわたっています。また、進出先も従来の欧米市場から、中国、東南アジアといった新興国へとシフトしているのです。

 

 

海外部では、海外での販売戦略の立案、国外の子会社や工場、研究所の経営上の問題解決、輸出の整備等にあたります。さらに、海外の学会での自社商品発表をサポートしたり、新しい拠点づくり等にも携わるため、幅広い知識や優れたビジネスセンスを持つ者が、海外部門に配置されます。

 

また、外国語による会話、作文、読解能力が高いことが条件となり、現在では外国人を採用するケースが増えています。

 

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業績アップの鍵を握る海外事業

 

アステラス製薬は、2005年に山之内製薬と藤沢薬品が合併してできた企業ですが、両企業とも海外進出に積極的なメーカーでした。旧・山之内製薬は、海外販売進出を進める方法として、委託や合併はではなく、自社の現地法人による販売を採用しました。

 

その結果、海外収益のアップに成功し、ヨーロッパにおける売上利益は、日本から進出している企業の内では第2位でした。旧・藤沢薬品との合併直前の売上比率をみると、その4割を海外部門が占めており、海外でのビジネス展開に力を入れていたことがわかります。

 

 

一方の旧・藤沢薬品も、免疫抑制プログラムの海外シェア拡大に成功し、海外依存度は50%にも上る勢いでした。この両者が合併して誕生したアステラス製薬も、当然海外でのビジネス展開に積極的です。同社は、2012年6月現在、グローバルで開発中の医薬品が22あるのに対し、日本のみでの開発品はたったの9品目にとどまっています。

 

国内第1位の武田薬品も海外進出を進めており、2012年9月現在、世界14か国に17の自社工場を有します。また、2011年度の売上実績を見ると、国内が7334億円であったのに対し、欧米合計も7280億円と、ほぼ同額となりました。

 

 

しかし、日本を除いたアジア地域での売上は475億円程度にとどまっており、これをどこまで伸ばせるのかが目下の課題です。近年では、海外部門での収益が伸びないメーカーは、収益全体が伸び悩んでいるといっても過言ではありません。いかに海外進出を成功させるかが、企業発展の鍵となっているのです。




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