医薬品の流通に関する先進国のルールについて

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医薬品業界のグローバル化は着々と進んでいます。先進国は医薬品に関する共通のルールを定めて、国ごとの法律の壁を乗り越え、薬が少しでも円滑に流通するよう務めているのです。

 

医薬品の流通に関する先進国のルールについて

 

2012年厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」によると、2011年度の海外医薬品輸入額は約2兆5312.9億円で、前年比9.3%増でした。反対に、日本から海外への輸出金額は約1384億円で、前年比4.2%減です。

 

これまで輸出金額は、200億円以上の伸びを示していましたが、近年は動きが鈍くなり、2010年度から2012年度にかけては2年連続でマイナス成長でした。ところが、輸入金額はまだまだ増加傾向にあり、日本の貿易収支の大きな足かせとなっているのです。

 

全ての輸入医薬品は、安全性を確保するため、市販前に国内の承認を得ることが義務付けられています。もちろんそれは日本に限ったことではありません。また、医薬品を輸入して各医療機関へ販売するためには、輸入販売業や製造業、卸売販売業といった許認可を取得する必要があります。

 

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特に日本では、輸入医薬品を扱うための許認可の数が、欧米に比べて多いと言われているのです。国内で開発する新薬と同じように、新薬を輸入する場合にも厚生労働省の許可が必要となります。薬事法を初めとする法律の下で、国内の医薬品製造と輸入品医薬品には、同じ条文が用いられています。

 

どういう事かというと、「医薬品の製造(輸入)を業として営むには、その製造(営業)所ごとに、製造(輸入販売)業の許可を取得しなければならない」というように、輸入の部分がカッコ書きで記述されているのです。

 

 

また、海外医薬品の輸入申請時には、対象医薬品の臨床データの添付が必要ですが、日本では国内での臨床実験データの提出が必要でした。これは、人種の違いにより、外国人と日本人ではその薬の用法、用量、効果に違いがあり、安全性が損なわれる可能性があると考えられていたからです。

 

しかし、2003年7月1日以降、日、米、EU間で医薬品承認申請資料のガイドラインに合意、海外の臨床データを承認申請資料の一部に併用することが可能となりました。

 

 

WHOの証明制度に基づいた輸出

 

WHOは医薬品の輸出入承認申請の世界基準のガイドラインを策定し、世界中で医薬品が円滑に流通するよう図っています。日本の製薬メーカーが国内で独自に開発した薬剤を輸出する場合、WHOの基準に基づく「医薬品証明書」と「医薬品製剤承認・許可情報陳述書」に国内の承認許可、GMP適合性、そして製品情報等をまとめ、輸出相手国に提出します。

 

それ以外に、相手国の求める基準を満たすことで、初めて輸出が可能となるのです。




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