医薬品メーカーの開発途上国への進出

医薬品メーカーの開発途上国への進出

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地球上には、未開拓の市場がいまだ多くあります。IT技術の発展により、これまで踏み込むことの難しかった地域にも、営業の足が延ばせるようになりました。しかし、開発途上国にとって医療品は援助物資となることもあるので、ビジネスにしていくには工夫が必要です。

 

医薬品メーカーの開発途上国への進出

 

社会貢献を担う医療品開発ですが、これまでは主に先進諸国の国民を相手にビジネスとして成長してきました。高度な医療と医療品は、それに見合う費用を支払う能力のある国で開発されてきたからです。

 

最近では開発途上国へ目が向けられ、ビジネスチャンスを狙っていくつもの企業が進出を果たし、拠点作りを試みています。他方、先進国の市場では、需要は万人向けの大衆薬から、個人の体質に合わせた医薬品へシフトしつつあります。

 

 

そのため先進国市場で開発費の回収を終えた大量販売向けの医薬品は、安価で販売しても利益が上がることから、開発途上国における販売の主力製品となっています。しかし、低開発国では先進国と違い、大衆医薬品の有無は人々の命にまで関わってきます。

 

01年世界貿易機構によるドーハ宣言により、これらの国では2016年までを目安に特許料なしで医薬品を製造することが認められました。しかし、このことは医薬品会社にとって、知的財産権を持つ優位性やモチベーションを下げることになり、結果として開発途上国への新薬導入がさらに遅れることになりかねないという懸念があります。

 

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新たなビジネスチャンスとなる感染症の再出現

 

近年開発途上国と先進国の間で人の行き来が頻繁になったことから、かつては特定の地域にしかなかった感染症が世界中でみられるようになりました。先進国ではおさまっていたはずの結核が、耐性化が起きたこともあり、現在再び急増しています。

 

結核に関する医薬品の市場は、従来1億5000万ドル以下だったものが4億5000万ドルにまで増え、2010年以降に6億ドルを超えるとの予測です。現在、世界の市場に出回っている薬の半数以上は4億5000万ドル以下の売上げですから、医療品業界にとっては想定外のビジネスチャンスと言えます。

 

 

先進国の中で、梅毒やコレラが再び出現したり、日本でも風疹、麻疹、百日咳の再流行が見られたりしています。新種の感染症として、エイズ、デボラ出血熱の他、新型インフルエンザの出現も私達を脅かしています。

 

2013年には、中国で鳥インフルエンザの人への感染が報告され、日本ではマダニを媒介とする重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生がみられました。新種の感染症は治療法が確立されていないため、死亡率も高く、世界の公衆衛生専門の研究者にとって最も重要な課題となっています。




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