ヘルシンキ宣言による人権の保護について

ヘルシンキ宣言による人権の保護について

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医薬品と治療法研究は、その効果と安全を確認するため、最終段階で人体における実験が必須です。しかし、長い歴史の中で被験者達の人権は軽視されてきました。

 

ヘルシンキ宣言による人権の保護について。インフォームド・コンセントの対象範囲

 

ヘルシンキ宣言とは、「人を対象とする医学的研究の倫理的原則」のことで、医師や医療研究者らの自主規制のガイドラインです。戦時中のナチスドイツによる悲惨な人体実験への猛省から戦後の軍事裁判でニュルンベルグ綱領が作られ、医療研究ための人体実験の際、被験者の人権を最大限に守ることが約束されました。

 

これをもとに1964年、世界医師会においてヘルシンキ宣言が採択されたのです。その内容には人体実験を受ける被験者には事前に十分な説明をすることと、被験者自らの同意が必要であることが明示されています。実は、現在の医療の常識となりつつあるインフォームド・コンセントは、ここから派生しています。

 

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しかし、ヘルシンキ宣言後も、患者に知らせずに開発中の薬を服用させることや、囚人や知的障害者、余命の少ない患者など弱者に対する人体実験が陰で行われていたのです。60年代の米国では、このような事件に対する訴訟が相次ぎました。闘病中の患者に対する不適切な実験が横行する中、「患者が知る権利」と「患者への説明責任」の重要性が浮かび上がりました。

 

そうした経緯から、1973年米国病院協会による「患者の権利章典」が制定されました。これにより、患者は病状について医師から正確な情報を得て、その治療方法について患者が主体となって決定できる法的根拠ができあがったのです。

 

 

対象範囲が広がったインフォームド・コンセント

 

インフォームド・コンセントは、治療と治験の両方に適用されます。クローン技術や、遺伝子解読技術など新医療分野に対応すべく02年にヘルシンキ宣言に修正が加わりました。それまで適用は医師だけだったのが、医学実験を行う研究者全般にまで広がり、個人の特定可能な人体組織や、そこから得られるデータの使用に対しても、インフォームド・コンセントを求めることが出来るようになりました。

 

しかし、日本においてインフォームド・コンセントが広まったのは、90年以降であることに加え、先進諸外国に比べて、被験者の同意を得ることが難しく、新薬や治療法の開発に必須である治験の環境は整っていない状態です。




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