製薬における遺伝子治療の可能性について

製薬における遺伝子治療の可能性について

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1865年にメンデルの遺伝子の法則が発表され、そのわずか4年後にはDNAが発見されています。現在ではバイオテクノロジーはさらに発展を遂げ、細胞核からDNAを取り出して別の細胞核に移植することで、生物を改良したり、コピーを作ったり、遺伝子組み換えが行われたりするようになりました。遺伝子分野の研究は今後の創薬に大きな影響を与えるでしょう。

 

製薬における遺伝子治療の可能性について

 

バイオテクノロジー(遺伝子工学)とは、遺伝子を操作する技術です。DNAに手を加えることで、生物の成長や性質を操作することができるため、植物の生産性を向上させたり、発酵醸造産業で利用されたりしてきました。そうした中、大腸菌などの増殖力の強い細胞に有効な遺伝子を組み入れることで、その遺伝子のコピーを効率よく大量生産できることがわかったのです。

 

これにより、化学合成の技術では作ることのできなかった医薬品を、微生物を利用して作れるようになりまし。このような医薬品をバイオ医薬品といいますが、人のインスリン遺伝子から作った糖尿病治療薬、ヒトインスリン製剤、B型・C型肝炎治療薬のインターフェロン、小人症治療薬のヒト成長ホルモンなどがあり、今後バイオテクノロジーは症例の少ない難病の治療薬開発にますます活用されるようになっていくでしょう。

 

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バイオテクノロジーの応用である遺伝子治療

 

バイオテクノロジーの研究が進むにつれ、病気の多くは遺伝子レベルの異変により起こることも明らかになり、その知識を利用した遺伝子治療が行われるようになりました。

 

遺伝子治療は、バイオテクノロジーとは区別されています。病気の原因となっている異常な遺伝子を見つけ、人工的に作った正常な遺伝子をそこへ届け、細胞本来の機能を回復させます。正常な遺伝子が、薬の役割を果たすのです。患者の遺伝子に異常があり、それが病気の原因である場合にはとても有効な治療法です。

 

90年に世界初の遺伝子治療がアメリカで行われました。体に必要な酵素を作る遺伝子に生まれつき異常があり、重い免疫不全を引き起こすADA欠損症の少女が患者でしたが、正常な遺伝子を送り込んだことにより、見事に健康な生活を送れるようになりました。

 

 

遺伝子治療は現在、がん治療をターゲットにしています。がんと遺伝子異常に、何らかの関係があると見られているからです。実際、がん細胞に正常な遺伝子を送り込むと、がんの増殖が抑えられることがわかっています。

 

国内では遺伝子治療は、安全性確保のために治療対象が限られているのですが、食道や肺がん、血管再生や脳腫瘍などの治療でも効果が得られています。アメリカでは副作用が少ない治療法として認められ、コレストロール血症や関節リウマチなどの慢性疾患などの治療に広く利用されています。




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