アメリカから学べる薬剤師の在り方

アメリカから学べる薬剤師の在り方

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アメリカでは、薬剤師は尊敬される職業の常に上位にランキングされています。しかも、2001年まで常に20年間トップでした。現在も、その信頼は確固たるものがあります。

 

アメリカから学べる薬剤師の在り方

 

自発的な行動が重要な薬剤師

 

日本では国民は皆保険に入り等しく治療を受けられます。これは素晴らしい制度です。アメリカでは、民間保険が主流です。メディケア(老人保健)やメディケイド(障害者、低所得者保険)などの公的保険がありますが、大多数は民間保険に加入します。病院にかかるのも割と大変です。長期間待たされることはザラで、時には財産もなくなります。保険料も高額なので、無保険射が4700万人もいます。

 

しかし、薬剤師に関しては日本が学ぶところが多いのです。アメリカの多くの州では、薬剤師がインフルエンザの予防接種や血糖値測定、血圧測定、処方変更、HIT(在宅輸液療法)などに関わっています。これらは日本では医師の行う仕事です。医師と薬剤師の間に「共同薬物治療契約」が有り、薬剤師の仕事内容を規定しています。

 

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患者にとっては、薬局が開かれているためいつでも出向けて、自己管理が容易です。医師は、患者を長く診ることになり、薬物療法の監視も任せられます。医師と薬剤師、患者にメリットがあるため、支持されているのです。

 

ワシントン州が最も早く取り組みましたが、それでも当初は、医師の仕事が奪われる、との反発が強く、うまくいきませんでした。ドン・ダウニング教授によれば、薬剤師が処方せん調合から脱皮するのに20年かかったとのことです。

 

 

医療の質向上が前提となる職域拡大

 

アメリカでの成功は、医師の業務に薬剤師が一部関与した結果、本来の治療に専念できて医療全体の質が向上したこと、そして患者のQOL向上につながることが理解された結果です。患者はこの活動を支持し、州が認めて制度化したのです。自遺跡を積むことが大切です。

 

しかし、日本では薬剤師業務は制度が先ですので、必然性を誰も感していないのが問題なのです。医師が医療に専念できるよう、種々の方策が取られています。薬剤師にもアメリカではテクニシャンがいて、簡単な業務は彼らが行います。従って、患者への説明、医薬品切り替え、他部門との交渉など本質的な薬剤師の業務に専念できるのです。

 

今、厚労省の医療推進会議で、看護師や薬剤師の業務拡大の検討がなされ始めました。今こそ、薬剤師は医療の質向上に積極的に参画すべきです。それが薬剤師の将来を決めるといっていいでしょう。




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