医薬分業による負担増

医薬分業によって、手間や負担が増した医療業界について

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安心で安全な薬物療法を実現することが医薬分業の考え方ですが、そのためにはお金と時間を費やします。患者側から見て、医薬分業が安心で安全であるということを理解してもらえるよう「見える化」することが非常に重要です。

 

医薬分業によって、手間や負担が増した医療業界について

 

ダブルチェック機能が本旨である分業

 

医療を受けて待たされ、また薬をもらうのに待たされた経験は誰にでもあるでしょう。二度手間に、従来の病院窓口で調剤をもらったほうがいいと思う人は多いはずです。しかし、医薬は分業されました。一見無駄に思えるこの方式に切り替わったのは何故でしょう。欧米ではごく自然に行われている医薬分業が持っているメリットを考えてみましょう。

 

1番目は専門職の分離により万が一にでも起こる可能性のある危険を防止し安全を保証することです。二つの重要な機能を分けてダブルチェックを行うことができます。2番目は、医師の負担軽減と専門家への責任分離が有ります。保険医薬品の15000点を完全に掌握している医師がいるでしょうか?3番目は複数受診や多剤服用のチェックです。

 

高齢者は複数の医療機関を使用することが多く、チェックがなければ、別の病院で同じ薬を出されたものを服用し過剰量を服用したり、時には相互作用のある危険な薬剤を服用してしまうこともあります。調剤薬局で一元管理できれば、そういった事故は防ぐことができるのです。

 

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疑義照会で副作用を未然に防ぐ

 

患者の薬歴は調剤薬局に保管されているので、それを見れば患者への薬物医療の経過が分かります。また他の医療機関での投薬は「お薬手帳」でわかりますので、この二つが非常に大切なデータです。特にお薬手帳は、複数の医療機関からの薬を1冊に纏めておくといいでしょう。日本医師会の実施した疑義照会の記録を見ると2010年では全処方せん数の2.72%に相当します。このうちの7割が変更に該当しました。件数だと1000万件以上になります。このように、専門家のチェックが入ることで未然に薬物事故を防止することができるのです。

 

(疑義照会規則違反裁判) ある病院で医師が常用量の5倍の薬剤を処方せんに記載し、薬剤師がそのまま投与したために患者が死亡した事例があった。東京地裁は2011年2月、処方医の業務上過失障害と薬剤師の疑義照会規則違反を認め、双方に損害賠償を命じた。

 

疑義照会:薬剤師法24条は、「薬剤師は処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめたあとでなければこれによって調剤してはならない。」とある。疑義照会は薬剤師の義務なのである。




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